11月20日「毛皮の日」

少しずつ寒さが増してきました。そんな季節にピッタリともいえそうな、11月20日は『毛皮の日』です。
一般社団法人「日本毛皮協会」が1989年に制定しました。「いい(11)フ(2)ァー(=輪―0)」(ファー=fur(毛皮))と読む語呂合わせから、毛皮の需要促進キャンペーンの一環として制定されたそうです。
毛皮には2種類あり、体毛がついた獣の皮をなめして使われているのがリアルファー。それとは反対に動物の毛皮を用いずに化学製品によってつくられたものをフェイクファーと呼んでいます。古くは旧石器時代より、防寒着としてもひろく使われてきた毛皮ですが、日本でも平安時代から裕福な貴族のあいだで流行していたとか。
しかし、毛皮を求めて動物たちを乱獲したこともあり、現在では動物愛護の観点から多くの有名ファッションブランドがフェイクファーを使用するなどしています。
ここで毛皮…と聞いてふと思いだしたことがありました。
子ども時代、年末年始は祖父母の家で過ごしたものでした。元旦にはそろって初詣へでかけるのですが、そのときにいつも祖母は着物を着ていました。毛皮と聞いて思いだしたのはその祖母の首元に巻かれた茶色のふわふわのもの!それはテン(もしくはイタチ?)の本物そっくりな顔つきの毛皮のマフラーでした。小さい顔にくりくりの黒い目。幼かった私は「それかわいいね。」と顔をなでたり、巻いてもらったりしていました。祖母になんの動物なのか?本物なのか?とたずねたのですが、今となっては思いだせません…。そのころはミンクのコートや、ラビットファー、キツネやチンチラの毛皮などが軽くて暖かい高級品とされ、衣類や手袋、バッグなどに加工されたものが、多くでまわっていた気がします。
そして私が毛皮と聞いてさらに思いだしたのが、ふさふさと揺れる、キツネのしっぽ。
今回ご紹介するのはそのキツネの父さんが大活躍するお話、『すばらしき父さん狐』(「小さいりんごコース」およそ9~10才)です。
主人公はもちろん父さん狐。ブヨブク、ブクゼニ、ゼニシブリといかにも悪そうな名前を持つ3人を相手に知恵を使ってたたかうお話です。ブヨブク、ブクゼニ、ゼニシブリは名前のとおり、お金が大好きで自分のことばかり考えているような大人たち。それぞれに大きな農場を経営しています。対する父さん狐は愛する母さん狐とかわいい小狐4ひきと農場近くの山にある穴のなかで暮らしています。そして夜になると、父さん狐は穴からでて、それぞれの農場から毎日少しずつ家族の食べるぶんだけアヒルや七面鳥をいただいてきます。
しかし、それが気に入らない3人はなんとかして父さん狐をつかまえようとある夜穴の近くに鉄砲を持って待ちぶせます。父さん狐は無事に家族を守ることができるのでしょうか?
こちらはロアルド・ダール作品のひとつで、子どもたちにもにんきの1冊です。おもしろいやら、先が気になるやらでページをめくる手が止まりません。手にとりやすいサイズ感でもあるので、旅のおともにもおすすめです。
これから寒くなってくると、毛皮を持っている動物たちがなんだかうらやましくなりますね。
そんなときには、あたたかいブランケットに包まれながら、それでも寒いときにはどうぞ子どもを抱きこんで、ぬくぬくの読書タイムがしあわせ時間です。
深まりゆく秋とともに、いつもより長く、深いお話を読んでみるのもいいかもしれませんね。
(担当:A)
『すばらしき父さん狐』
ロアルド・ダール/作
クェンティン・ブレイク/絵
柳瀬尚紀/訳
評論社
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「小さいりんごコース」(およそ9~10才)
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